エンジニアとして技術に向き合い、仕事をすることはとても楽しいことです。しかし、エンジニアとして仕事をしていると、どうしても近視眼になってしまうと言われています。技術にひたむきに向き合う一方でそればかりになってしまい、視野が狭くなってしまうようなことはよく見受けられます。そうなるとビジネスや会社における自分の仕事の位置付けを忘れたり、見落としがちです。こうなると実はエンジニアである皆さん自身にとっても待遇などで損をしてしまうこともあります。
そんな近視眼のエンジニアにならないために、筆者はエンジニアの皆様にぜひビジネスの視点を常に持つことをおすすめします。そのために、ぜひ皆さんに身につけていただきたい習慣をこちらでご紹介いたします。
ビジネス書や雑誌を読む
手がつけやすいのはやはり巷にあるビジネス書を読むことです。とっつきにくいと思われるかもしれませんが、読んでみると意外と引き込まれることが多いです。真面目な日本人にとっては特に自己啓発関連の本は読むとモチベーションがあがるきっかけとなります。
また、ダイヤモンドやプレジデントのような雑誌を読むこともおすすめです。どちらかというとハイキャリアなビジネスマン向けの雑誌ですが、専門知識がなくてもついていけるような読みやすさがあります。こちらも読んでいて面白く、
本を読む習慣がない人にとっては、ベストセラーにとなっているようなビジネス書を片っ端から読んでみるのも効果的かと思います。しかし、ある程度読むようになってきたら、戦略的に読むことをおすすめします。売れている本の中にはタイトルで読者を煽ったり、注目を集めようとする本も少なくありません。また、タイトルが違うだけで、言っていることが同じ、といったような本もかなりあります。本を読むことに慣れてきたら、自分が必要な知識は何かを整理し、戦略的に本を選んでいくことも大切です。
ビジネス系のセミナーや勉強会に参加してみる
特に東京近辺に住んでいると、手軽に様々な勉強会に参加する機会が得られます。こういった機会を活用してみる視野を広げるチャンスになります。最近ではスタートアップ系企業が開催する勉強会なども増えており、ビジネスや技術のトレンドを掴む機会となります。
ビジネス系の資格をとる勉強をする
技術系の資格は多く取得されているかもしれませんが、ぜひビジネス系の資格にトライしてみてください、具体的には会計や法律、経営論、マーケティングなどの分野がおすすめです。他のエンジニアが知らない世界を知るということは非常に大きな武器になります。
筆者が特におすすめするのは中小企業診断士です。中小企業診断士はビジネスに必要となる知識領域を体系的に学ぶことができます。それなりの勉強量を必要としますが、資格としての市場価値も高いです。科目は、企業経営理論、経済学、財務会計、法務、システム、運営管理、中小企業政策の7科目がカバー範囲が広いのが特徴です。これらの勉強をすると、ビジネスマンとしての視野が広がり、経営視点でも技術を考えることができるようになります。もし資格取得をモチベーションとするのが向いている方であれば、ぜひおすすめしたい資格の1つです。
転職サイトやエージェントに登録する
これは筆者自身の経験でもあるのですが、転職サイトやエージェントにつながることで、一気に外部からの情報量が増えます。そもそもエンジニアの自分の市場価値はどれくらいなのか?ということを気にかけておくことはとても大切です。
また、エンジニアポジションではなくても、バックグラウンドでエンジニアとして働いていた経験が重宝されるポジションが数多く存在します。もちろん待遇が上がるポジションも数多く存在します。転職サイトやエージェントに登録し、情報収集していないと、こういった情報に気づくことなく時間が過ぎてしまうのです。
会社の経営資料や決算資料を熟読してみる
皆さんはご自身の会社の経営資料や決算資料を読んだことがあるでしょうか?会社員の方でしっかりと読めている人は少ないかと思います。しかし実はこの決算書、ビジネスを勉強するための宝の山です。非エンジニアであるビジネスマンの間では財務諸表(貸借対照表、損益計算書、キャッシュ・フロー計算書など)をちゃんと読めるかどうか、が一つの基準とされていることが多いです。
また、エンジニアであるご自身の仕事が会社の経営数値としてどのように処理されているのか、を知るとても良い機会となります。自分の仕事と会社の経営というミクロとマクロの対比をすることができます。
またもし興味を持ってみたら、他社の決算書をみてみるようにしましょう。最近では「決算書100本ノック」、のような他社の決算書を分析・解説する本もでてきているので是非有効活用しましょう。
マーケティング会社やコンサル会社などに転職する
これは実は筆者自身が実践したことです。思い切ったなあと思われるかもしれませんが、異業種への転職はとても視野が広がります。しかも幸か不幸か、日本は技術職からキャリアアップとしてマーケティングやビジネス領域へ転職とすると、待遇面が上がることが多いです。
筆者は技術を専門とする会社から、マーケティングを専門とする会社に転職をしました。たしかに会社の総合的な技術力は前職よりも落ちるのですが、個人としては前職よりも待遇が上がり、会社からも重宝されるポジショニングを取れていると考えています。ポイントは
「今はエンジニアがいないけどエンジニアを非常に欲しがっている会社に入ったこと」
です。分解すると、
- エンジニアの間ではまだあまり働けるイメージがない。
- エンジニアを非常に欲しがっている。
- マーケティングや経営など、自分の身に付けたいスキルを専門としている。
といった要素が重要になってくるのではないかと考えています。
筆者の場合、需要と供給、ある種人材市場のマーケティングを考えて、転職したことになります。エンジニアを必要としていますが、エンジニアがまだ会社に少ないため
また、市場にエンジニアが活躍できる会社として知られていないため、エンジニア間での競争率は低く、待遇も一気に上がる可能性があります。ただし、気をつけておいたほうがいいのは、エンジニアがまだいないor少ない会社なので、「エンジニアが働ける風土があるか」はあらかじめ確認しておいたほうがいいでしょう。もしかしたら全く違う保守的な文化で、スピード感も全く異なる会社かもしれません。逆にこういう異文化環境を楽しめる人にこそ、筆者は積極的に転職をおすすめします。
また、他のエンジニアがいないため、技術専門の会社に比べ、会社員としては競争相手が少ないブルーオーシャン状態になります。つまり必然的に、自分のポジションが上がっていくのです。もし今よりも仕事の裁量が欲しいと考えている場合は是非、このような「これまで技術を主としていなかった会社」を是非探してみましょう。もしあなたがマーケティングや経営などのスキルや経験を身に付けたいのであれば、迷わず転職を検討してください。
技術オタクは卒業しよう
最後に。筆者がエンジニアの皆さんに問いかけたいのは、自分の仕事が会社にどれだけ貢献しているのか?を把握されているかどうか、ということです。できる限り客観的に、数値的に自分の仕事の貢献量を把握しましょう。世の中には「IT土方」と揶揄も少ないですが、こうなってしまったのはエンジニアの皆さんにも原因があると思っています。
基本的に、プログラマーなどの技術職は、時間をかけてモノを作る必要がでてきます。そうなった場合どうしても労働生産性を考えなければなりません。好きなことに埋没するだけでなく、どれだけ生産的に、本質的にビジネスに貢献する仕事をしているか。常に問いただす姿勢を持つようにしましょう。ただの技術オタクを卒業し、周囲から尊敬されるエンジニアが1人でも増えることを祈っています。