市場価値の向上

ITエンジニアは人材不足が深刻化しており、引く手あまたとなっています。自社での仕事や待遇に満足できない場合、転職の道もありますが、最近注目されているのが独立して起業する方法です。エンジニアの起業は以前と比較してハードルが下がり、現実的で有力な選択肢となりました。ITエンジニアが起業をするにあたって、準備をしておくべきことについて紹介します。

エンジニアが起業するために絶対必要なのが「スキル」

エンジニアが起業をするにあたって、一番大事なのが「スキル」です。

スキルを考える上では、スキルのレベルの高低だけでなく、どんなスキルを持っているかが大切です。特に、自分で商品やサービスを開発するのではなく、請負の形で起業するのであれば市場の需要が多いスキルを持っていることが必要不可欠となります。

AI関連やセキュリティは特に需要が多い分野ですが、外部、特に個人に委託されることはほとんどありません。現実的にはPythonやRuby、JAVA、C#などの開発言語に強い、もしくはネットワークやインフラ、組み込みなどの分野に関するスペシャリストであるのが望ましいです。

しっかりスキルを身に着けることはもちろんですが、実績が無い個人事業主や中小企業ではなかなか仕事を得ることはできません。そのため、スキルを証明するものとして、資格取得や、開発実績などのポートフォリオを準備しておきましょう。

エンジニアが起業で成功するために考えておくべき「事業内容」

エンジニアが起業し、成功するためには、しっかりと事業内容を考えておく必要があります。事業内容が漠然としていると、いざ起業しても発注も無く営業の仕方も決まりません。また、事業内容を予め決めておくことで、必要なスキルを前もって伸ばすこともできます。

エンジニアが起業する方法で、最も単純な方法がフリーランスとして請負業務を行うことです。現在の仕事の延長で考え、同じような仕事内容の仕事を探せば顧客に十分な価値を提供することができます。必要なスキルや可能な業務レベルも明確で取り掛かりやすいでしょう。この場合は、自分の得意分野のスキルを伸ばしていくことが重要です。

また、エンジニアの中には、自ら製品やサービスを開発し、その提供によって売上を得る人もいます。顧客や市場のニーズを読み取り、センスある形で提供することが必要になるため、請負エンジニアよりもハードルが高いです。ただし、魅力的な商品が開発できれば、非エンジニアの従業員も多く雇いながら、企業として大きくなっていける可能性もあります。この場合に必要なのはスキルはもちろんですが、製品・サービスというアウトプットを持つことが何よりも重要です。

エンジニアは技術を売る仕事ではありますが、エンジニアには技術だけでなく知識という武器もあります。その知識を活かし、専門学校やプログラミング教室の講師や、テクニカルライターとして起業を目指すことも可能です。講師であれば知識を整理し伝えるためのプレゼン能力や、テキストなどの学習素材を準備しておく必要があります。ライター職であれば、ライティングに関する技術や取材方法などを学習したり、ポートフォリオとして個人や会社のブログを準備しておくと良いでしょう。

事業内容がハッキリしないまま退職するのはリスクがあるため、独立起業を目指すのであれば、在職中にしっかりとビジネスのイメージを固めておくようにしてください。

エンジニアが起業する際のヒト・モノ・カネはどうしたらいい?

起業するにあたって気になるのが、起業のために必要なヒト・モノ・カネをいかに集めるかです。

エンジニアが起業する場合、スタートアップ時点ではほとんど人材は必要ありません。事業内容にもよりますが、エンジニア個人に、売ることのできる技術や知識が備わっていることがその理由です。仕事もクラウドソーシングサービスなどで探せば、多くの案件がすぐに見つかります。そのため、商品販売や大規模な開発をする事業でない限りは、まずは一人起業で始め、自分だけでは難しい範囲は外注していくのが良いでしょう。仕事や資金が増えてからでもヒトの確保は大丈夫です。

エンジニアが起業する際に気になるのがモノの調達です。起業であれば開発や実験のためのサーバーや、高速なインターネット環境、さまざまな機材などが支給されていますが、起業すると必要なものは自分で揃える必要があります。事務所も必要ですが、エンジニアが販売する商品・サービスは形を持たないソフトウェアが主ですので、最初は自宅兼事務所やコワーキングスペースでも十分です。最低限何が必要かを事前に洗い出して、購入計画を立てて必要なものを準備し、事業の拡大に合わせて物品や環境を揃えていきましょう。

エンジニア起業では、カネの問題はさほど気にする必要はありません。基本的に購入が必要な物品が少なく、事務所の賃貸料も低く抑えることが可能だからです。また売上・収入を得るための仕事もクラウドソーシングサービスなどを通しすぐに見つけることができるため、入金が始まるまでの数ヶ月を耐えられる資金的余裕があれば問題ないでしょう。資金が必要な場合は、日本政策金融公庫や銀行、信金などの金融機関に相談したり、地域で補助金が無いか調べてみてください。

その他、開業手続きや税金に関する手続き、契約時の注意事項などは、インターネットや書籍で多くの情報を得ることができますので、必要な時に都度学んで行けば大きな問題になることはありません。

エンジニアが起業で成功するためにはビジョンをしっかり持つこと

エンジニアが起業をする上で大切なのは、「スキルを磨くこと」と、「事業内容を定めること」です。これはいわば、「ビジョンを持つこと」とまとめることができます。起業を通し、どんな仕事をし、どんな価値を提供していきたいかをよく考え、必要なスキルを磨いていきましょう。起業した後は、スキルを磨き、実績を重ね、信頼を勝ち取ることで、どんどん良い条件の仕事ができるようになっていくはずです。

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