大企業

企業の規模で何かと特徴が違うというのは社会人であれば少なからず感じたことがあるでしょう。エンジニアでもそれは同じです。

特に大企業であれば何事においても強いのではと思われがちですよね。しかし、大企業は強みが多いのは事実ですが、弱みもあります。

ここでは大企業で働くエンジニアの強みと弱みをまとめました。
なお、給与や福利厚生面等に関しては、ここでは触れていません(平均的に大企業の方が良いでしょうが)。あくまでも、エンジニアとして仕事の進め方やキャリアアップについてのみ書いています。

大企業のエンジニアの強み

大企業と大企業で働くエンジニアの強みを人、情報、モノ、カネ、その他(ネットワーク、教育)についてまとめてみました。

人と情報が多い

人からは情報だけでなく、優しさや思いやりなどの心、精神的な面も大きく影響を与えられますが、それらは何も大企業だけではありませんよね。
そこで、ここではエンジニアにとって人から得ることができるものを、その人から発信される「情報」にのみフォーカスを当てています。

そもそも大企業は人が多いです。その分、いろいろな知識を持っていたり、経験をしている人が多いと言えます。コンピュータープログラムに強い人、機械工学に強い人、様々な材料に精通している人、工場管理・品質管理、マネジメントにたけた人、経理担当者や特許担当者等も含め様々な人がいます。
大企業にいるあなたがもし何らかの知識や情報を得たいのであれば、社内にそれらを持った人がいる確率が非常に高いでしょう。
例えば新たに商品開発をするとした場合、特許を調べる必要があります。その際、社内弁理士がいたり、弁理士はいなくても特許に関する専門知識のある人がいる事でしょう。
しかし、中小企業ではそのような人がいなくて、自ら調べる必要があることが多いのでは。

しかも、大企業には有能な人材が多いのも事実。
有名大学の出身者、何十年も研究開発をしてきた人も多いでしょう。

大企業でプロジェクトとして開発を進める場合、そもそもいろいろな人が集まっているので、いろいろな知識がプロジェクト立ち上げの時からあると思っていいでしょう。よって、一から情報を得る時間を省くことができたり、様々な情報や知識を集め効率的にプロジェクトを進めることができ、さらにリスクを削減することができます。

これは、キャリアアップの上でも大きなメリットです。多くの人に接するだけで、多くの有用な知識・情報を得ることができるからです。
情報は、セミナーや本からだけでなく現在ではネットから膨大な量を得ることができますが、やはり実際に経験をした人から得る情報は極めて有効です。

また、一般的に、大企業の方が情報を社内に蓄積している傾向が強いです。
多くの大企業では、マニュアルが完備しており、多くのレポートや開発内容などの情報が社内データベース等に蓄積されていることでしょう。

さらに、教育制度も大企業の方が充実しています。社外セミナーなどは中小企業でも同様に参加できるかもしれませんが、社内の勉強会や教育制度は圧倒的に大企業の方が多いです。

多くの人から多くの情報を簡単に入手できることができるのは大企業のエンジニアの強みになります。

モノ

大企業には多くの「モノ」もあります。

新たな商品開発をする場合、最初はサンプル作成をする必要がありますが、社内を探してみると、その設備(もの)がある確率が高いです。
コンピューターでも同様でハイスペックのものが社内であり、それを使用できる場合があります。開発したものを評価する試験設備も多くあることでしょう。シミュレーションができたりすることもあるかも。

一方の中小企業では、開発をする「場所」すらない時もあるのではないでしょうか。

大企業のエンジニアは、多くのモノを使いやすい環境にいて、多くのモノに触れてることが強みとなります。

カネ
資金の面でも、大企業は豊富です。

大企業のプロジェクトでは、開発費用が億を超えると言うものが、多くあります。数百万円レベルの投資費用なら、入社数年後の人が普通に申請する金額であり、社内に多数あります。

一方で中小企業では数百万レベルの案件となると社長決済で、社内で1つか2つしかなかったりします。

もちろん、大企業でも費用を申請し許可してもらうには、理由が必要ですが、圧倒的に費用を出してもらうのが簡単です。

それだけ大企業のエンジニアの方が大きなプロジェクトはしやすく、経験値が増えるでしょう。

ネットワーク

ネットワークも社内と社外がありますが、ここでは「社外」ネットワークに関して書きます。

大企業には多くのプロジェクトがあり、その分、社外ネットワークも多くなります。
ネットワークが多いことは非常に大きな強みなのです。

いくら大企業でも、社内だけで商品開発を最初から最後までできるわけではありません。
したがって、社外との関係先と取り組みをしていく必要があります。
大企業にはすでに多くの会社や機関などの関係先と取り組みをしています。
ですので、社内に情報やものがなければ、 以前から付き合いのある関係先に相談依頼することが簡単にできます。

また、新たに関係先と取り組みを開始するのも簡単です。
大企業からの電話なら、それがいきなりであっても相手先はすぐに話は聞いてくれますよね。さらに取引を開始したいと言うことも多いでしょう。大企業は信頼性が高いですから、大企業と取引をすることでその会社も信頼が高くなるのです。

一方、それが中小企業でしたら、まずその中小企業の信頼性から調べる必要があります。

大企業のエンジニアは、既にある多数のネットワークを使うことができるだけでなく、ネットワーク拡大も容易なのです。
そして、幅広いネットワークを持っていることは強みと言えます。

教育

大企業は一般的に教育、訓練制度も充実しています。

多くの大企業では、社会人としてのマナー教育やキャリアアップ教育も実施していることが多いです。
定期異動で幅広い知識・経験をすることが義務づけられているところもあります。
最近では少なくなったかもしれませんがOJT(オンザジョブトレーニング)として、先輩社員などが、仕事を通じてスキル向上を目指した教育制度もあります。

一方の中小企業では、なかなか社内教育と言うのが難しいのが実情。即戦力を要求され何の教育も受けずに業務を推進する必要があったり、先輩社員が20歳も年上だったりして話が噛み合わないこともあるでしょう。

最近では大企業でも即戦力を要求されますが、やはり、しっかりとした教育が受けたいのであれば、大企業が圧倒的に優位なのは間違いありません。
大企業のエンジニアは教育も多く受けていることでしょう。

最後に、大企業に働いたいと言う事は、転職の際にも大いにメリットになります。大企業に勤める事は、肩書にもなります。
大企業で商品や技術開発に関わったこと、管理職であったことは、転職の際に多くの企業が大きなポイントとして捉えてくれます。
これが中小企業でしたら、そうはいきませんね。
こんなとこでも、大企業のネームバリューは大きいのです。

大企業のエンジニア弱み

多くの強みを持つ大企業ですが、その半面、弱みもあります。

スピードが遅い

大企業の特徴として、決定の際のスピードが遅いことが挙げられます。
大企業では承認ルートが決まっていることがほとんどで、大きなプロジェクトひら社員が申請した場合、係長→課長→部長→取締役の順に承認が必要となります。
取締役会の決済が必要となれば、取締役会等は月に1回位しか行うことがなく、承認される前に1月はかかってしまうのです。

プロジェクトを進める場合も、プロジェクトメンバーの意見をまとめる必要があり、時間がかかってしまいます。もちろん多様な意見はメリットでもあるのですが、反対意見に対して論理的に、説得する必要があり時間がかかります。
時間だけでなく、エネルギーも必要です。

また、プロジェクトの変化・変更を求められる時も、承認に時間がかかります。そのために、問題発生の解決が遅れ、大きな損失となる恐れがあります。

一方、これが中小企業でしたら、社長さえ納得してオッケーと言えば、プロジェクトは開始し、進めることができます。

スピード重視のこのご時世、スピード感は非常に重要です。
意思決定の弱さは大企業の最も弱いところと言えるでしょう。

スピードの遅さそのものが直接、エンジニアのキャリアアップに影響するわけではありませんが、メリットではないことは事実ですね。

役割分担が決まっていて、狭い業務しか出来ない

大企業はいろいろなものを取り扱っていますが、その反面、個人個人は専門的なことに特化する必要があり、幅広い業務ができないことが多くあります。
この傾向は特にエンジニアに多く見られます。

大きなプロジェクトをすると、いろいろな人が関わっており、それぞれがプロジェクトの1部として機能を果たす必要があります。そして、若手の人などには、雑務までとは言いませんが、簡単な業務の担当になり、そのプロジェクトの間はそれに専念するよう要求されます。
さらに、昨今では大企業でも上に上がる人と上がらない人との格差が大きくなっています。上に上がらない人は、いつまでも、高い能力が必要ではなく誰もができるような業務を続けなくてはいけないのです。
一方で中小企業では、早いうちから何でもする必要があり、プロジェクトの企画やリーダーとして推進するマネジメントも行います。もちろん、歳をとっても雑務もしないといけないのですが、早いうちからいろいろな業務を経験することが可能です。

大企業のエンジニアは、多くの知識経験を容易に得ることができる反面、昇進しないと高い能力を求める仕事が回ってこないと言う厳しい現実もあるのです。

まとめ

大企業のエンジニアの強みと弱みをまとめてみました。
大企業は、人・情報・モノ・金・ネットワークが豊富です。
エンジニアにとってこれらは特に重要で、新たに商品を開発するときになくてはならないものなのです。

これらの強みを活かして、商品、技術開発を確実に進めることができます。
また、個人の能力向上にも大いに有効です。
社内教育も充実していることが多いですので、容易にレベルアップができます。

また、転職の際も、大企業に勤めていたと言う事だけで、ポイントが高くなりますよ。

一方で大企業の弱みもあります。
意思決定に時間がかかり、スピードが遅くなります。
社内に情報が多くあり、教育も受けやすいですが、業務分担がはっきりとしており、幅広い業務をすることができない恐れがあります。

強みと弱みは、表裏一体の場合が多いですね。

エンジニアとして大企業で働く強み、弱みを理解して、業務推進と、キャリアアップにつなげてください。

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