市場価値の向上

エンジニアには技術力が求められますが、市場で評価される技術と、普段から業務で使う技術には開きがあるケースが少なくありません。転職やキャリアアップを見据えて技術力を高めたいと考えているエンジニアは、スキルアップのための方法に工夫が必要です。技術力をウリにしていきたいエンジニアのために、スキルアップのコツを紹介します。

自分の技術とトレンドを比較してみる

技術力をウリにしていきたいエンジニアがまず行うべきは、自分のスキルの棚卸しです。どの分野に強く、どの分野が苦手なのか、またプログラミング言語は何が得意か、使えるフレームワークは何か、取得している資格は何か、という形で考えてみましょう。

次に、トレンドとなっている技術について考えてみます。技術雑誌やネットから多くの情報が入手できますので難しくはありません。エンジニア需要が高まっている分野としては人工知能や機械学習、セキュリティ、オープンソース、クラウド技術、ネットワーク、アプリ開発が代表的です。

トレンドになっている技術を自分が持っていない場合、技術力がいかに高くても市場における評価は低くなりがちです。技術力をウリにするのであれば、トレンドに乗った技術を扱える方が有利で、現場で活躍する機会も多くなり、現場での実績がさらに評価を高めます。トレンドの技術を修得しておらず、業務上も学ぶ機会が乏しいのであれば、トレンドからスキルアップの方向性を定めて、自分で学習を行うことが必要です。

 

効率的な知識の修得には資格取得がおすすめ

 

IT系のエンジニアには多くの資格がありますが、技術力を高めたいエンジニアにとっても資格取得はおすすめです。

現代のIT技術者はひとつの系統の知識だけではなく、多くの分野のIT知識を統合させて専門に活かすことが求められています。たとえばアプリを作成する場合でも、アプリ開発の技術はもちろん、サーバーやクラウドの技術、ネットワーク技術、セキュリティ技術も必要です。多くの領域を業務の中で経験できることはないため、さまざまな領域の技術や知識を体系立てて学ぶことができる資格学習は良い選択肢です。

資格はIPAの国家資格やベンダー資格がありますが、スキルアップを目指すならレベルの高い資格の取得に挑戦しましょう。段階を追って簡単な資格から取得していくのが堅実ですが、自信のある人は上級資格から挑戦しても構いません。IPA(情報処理推進機構)の国家資格であれば、ITスペシャリスト資格はスキルアップに良く、人材市場でも評価されるためおすすめです。

ITスペシャリストとは、ITスキル標準(ITSS)が定める6つの専門分野のいずれかで、レベル3以上を満たすエンジニアです。ITスキル標準ではIPAの国家資格や代表的なベンダー資格とスキルレベルを紐づけ、技術者の技術レベルを評価しています。経産省の公表している情報では、ITスキル標準のレベルに応じた平均年収はレベル1で437.8万円、レベル3で576万円、最高位のレベル6では1129.9万円となっており、キャリアアップへの効果が顕著です。

ベンダー系の資格では、ネットワーク分野ならシスコ技術者検定、クラウドならAWS認定、Linuxサーバーを扱うLinuCなどが有名です。ベンダー資格は、知識にとどまらずベンダー製品を扱って実際の問題に対処する手順なども身につくため、エンジニアの技術力が磨かれて業務においても活躍が期待できます。

技術力をウリにしたいなら、どんどん手を動かしアウトプットすること

開発や運用の現場では、知識だけではなく実際にプログラムやIT機器を扱うことが求められます。技術力をウリにするエンジニアは、知識や資格だけではなく、実際にスキルがなければなりません。

エンジニアとしてのスキルを磨くためには、どんどん手を動かしてアウトプットを出していくことが肝心です。技術者の情報共有サイトへ投稿したり、コミュニティを利用して開発やコードのチェックに参加したり、プログラムコンテストに参加するなど、アウトプットを求められる場に積極的に参加しましょう。

技術分野によっては、自分でサーバーやLANを構築して練習やテストを行うことも可能ですし、ブログやGitHubにアップすることもできます。技術的な問題や、個人で抱えるには規模の大きい設備が必要な場合など、個人で環境を準備するのが難しい場合は、プログラミングスクールや専門学校に通うことで環境を得ることができます。また、学習のためにアウトプットしたものは、自分のキャリアや実力を示すものとして転職活動でアピールに使うことも可能です。

エンジニアとしての実力は、アウトプットを目標とした試行錯誤の中で磨かれていきます。知識をスキルに変えるためにも、また最新の技術トレンドをしっかり追いかけるためにも、アウトプットを目的にした実環境でのトレーニングは非常に重要です。技術力をウリにしたいエンジニアは、どんどん手を動かしアウトプットしながらスキルアップを行いましょう。

技術力の高いエンジニアには、スキルアップの戦略と方法がある

エンジニアであれば、技術力に自信を持ちたいと考えるのは当然のことです。しかし、漠然とした学習や業務に終始していては、市場価値の高いエンジニアに成長することはできません。将来のキャリアや、現在の自分の技術やトレンドをよく考えながら戦略的なスキルアップを考え、実行に移していくことが必要です。エンジニアのスキルアップのための環境や選択肢は充実していますので、広い視野で最適な方法を考えましょう。

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