エンジニアがキャリアアップのための次のステップを考えているときにはITコンサルタントを候補にしてみましょう。転職するためにはどのようなスキルが必要になるのでしょうか。システムエンジニアとして働く場合との違いを考慮して戦略を立てることが大切になります。実際に転職するために重要な方法についても理解を深めておきましょう。
ITコンサルタントとシステムエンジニアの違いからわかる必要スキル
システムエンジニアとして現場経験を積んできた人が大きなキャリアアップとして目指す職種の一つがITコンサルタントです。年収の水準が高くて1000万円を超える人も多いのが魅力であり、さらにエンジニアとしてシステム開発のプロセスに関わってきたキャリアを生かすことができます。ただし、システムエンジニアとしての経験をそのまま活用できることはあまり多くはありません。ITコンサルタントはシステムエンジニアよりもさらに上流の工程を担当することになり、掲げる目標もシステム開発ではなくクライアントの問題解決になるのが特徴です。
ITによる問題解決の一般的なプロセスは、クライアントが抱えている問題に対して必要なシステムを考案し、その要件に従ってシステム開発を行うという流れになっています。そして、そのシステムが完成したら現場に導入して運用を始めるのが基本です。システムエンジニアはこの一連のプロセスの中の要件定義からシステムの開発、導入、運用を担います。それに対してITコンサルタントはその上流でクライアントにヒアリングをして問題を確認し、現状と照らし合わせてどんなITソリューションを提案すべきかを考えるのが仕事です。
提案するシステムは実装可能なものでなければならず、運用開始までにどの程度の期間がかかるかもわからなければなりません。そのためにシステムエンジニアとしての経験が有効活用できます。エンジニアとしてのスキルはスペシャリストであってもジェネラリストであっても問題はありません。しかし、確かに問題を解決できるシステムであることを確信を持ってプレゼンテーションするには総合的な実力と経験が必要です。そのため、いかに幅広く現場経験を積んでいるかがITコンサルタントとして敏腕になれるかどうかを分ける重要なポイントになります。
このような役割の違いを理解すると、いかにしてクライアントとのやり取りの中で問題を明確化し、解決策を戦略的に考えられるかが重要になるとわかります。ヒアリングで必要な情報を手に入れるためにはコミュニケーション力が欠かせません。それに加えてビジネスサイドの知識も必要になります。経営に関する知識やマーケティングのノウハウ、さらには法律や会計に関する基礎も身につけているのが大切です。そして、最良の解決策を提示するためには情報収集力も欠かせません。高い分析力を持っていて、無数の選択肢にふるいをかけられる人ならITコンサルタントとして活躍できるでしょう。
コンサルタントになるための二つの方向性
ITコンサルタントに転職したいと思ったら二通りの選択肢があります。一つ目は独立してフリーランサーとして起業する方法です。一人の力で問題解決を行える実力を持っている人ならフリーランスでも十分に活躍できる可能性があります。ただし、一人ではシステムを提案することはできても、現場に実装するところまで全てをカバーするのは困難になりがちです。多岐にわたる分野の人との人脈を持っていることが独立するには肝心でしょう。コンサルティングをする上で不足している専門知識のある人を呼べると助けになります。また、システムの開発や導入を任せる先があれば自分はコンサルティングに特化して事業を行えるからです。このような人脈を広げる下準備が独立するときには欠かせません。
もう一つはコンサルファームと呼ばれるIT系のコンサルタント専門会社に入社する方法です。コンサルファームは人気が高く、実力重視の現場が多いので採用時点からかなり厳しい敷居を超えなければなりません。しかし、転職に成功した暁には比較的大きな裁量を持って働くことができ、成果を上げれば高い評価を受けられるようになるのが一般的です。転職を成功させるためには自分の実力に対して高い期待を持ってくれる企業を探し出すことが重要になります。転職エージェントを利用して企業とのマッチングをしてもらって転職先を決めるのが効果的でしょう。今まで培ってきた能力を最大限に活かせる現場を見つけ出してもらえます。ITコンサルタントとして活躍するために不足している能力があれば具体的なアドバイスももらえるため、入社してからも成果を上げやすくなるのも魅力です。
ITコンサルタントを目指すには
キャリアアップの道としてITコンサルタントには魅力がありますが、システムエンジニアよりも上流工程を担うため、転職前には準備が必要です。コミュニケーション力や経営などに関する知識を付けておきましょう。転職するときには起業する道とコンサルファームを選ぶ道があります。コンサルファームに転職するならエージェントに相談し、自分の力を高く評価してくれる企業を探してもらうのが大切です。
